アジアの窓ガラス事情

アジアの窓ガラス
ユーラシア大陸の一部であるアジア。そのアジアは面積的にもかなり広く、そして深い歴史があるとともに人種や文化の面から見ても多様である地域です。そのアジアにおける窓ガラスは、どのような形で発展してきたのか、そして現在アジアに住んでいる人々にとってどのような存在なのでしょうか。
この記事では、アジアにおける窓ガラス事情について、歴史的背景や最新情報、宗教や人種的な面からご紹介いたします。

アジアで窓ガラスが使われ始めたのはいつ?

西アジアからヨーロッパへ

人類のガラス作りの歴史は非常に長く、最初にガラスが発明されたのは今から4000年ほど前であると言われています。そしてそのガラスが発明された地であるのが、西アジアです。しかし、当時のガラスは、窓ガラスに使えるような平面のものではありませんでした。
窓ガラスに使えるような平たいガラスが作り出されるようになったのは、紀元前100年の古代ローマです。そして古代ローマで作られた平たいガラスは、シルクロードを経由して古代ローマから漢(現在の中国)に到来したと考えられます。

漢(中国)のガラス

その証拠として、実際に漢の時代の遺物として板ガラスが出土しています。明確な窓ガラスが登場した時期の記録はありませんが、漢時代に書かれた「漢武故事」に窓ガラスが使われていたニュアンスの記述があるそうです。そのため、この記述と漢時代の板ガラスの出土の二点から、アジアにおいては漢の時代に窓ガラスが使われ始めたことが推測できるでしょう。

驚き!アジアの最先端の窓ガラス

生産量の多い中国のガラス

アジアにおける窓ガラス生産は、日本を省けば中国のものが高いシェアを誇っています。中国は言わずと知れた工場大国ですから、その窓ガラスの供給量は著しいと考えられます。特に中国では強化ガラスの需要が高く、中心的に生産されているのも強化ガラスです。

世界最大のガラス展望台

その最先端の強化ガラスの結果として挙げられるのが、中国の北京市郊外の石林峡にある世界最大のガラス展望台です。この展望台は崖から突出する形で、展望台の窓だけでなく床も一面が強化ガラスでできており、まるで空中に浮いているような感覚にさせてくれます。このような形状の展望台を作れるのは、それだけガラス作りの技術に自信があるからでしょう。

中国以外のアジア地域は、窓ガラスの生産力がそれほどなく、輸入に頼る傾向にあるのが現状です。ですので、アジア内ではガラス生産は中国一強といったところでしょうか。

アジアの窓ガラスが抱える問題・リスク・特徴

中国の強化ガラスの強さは?

アジアの窓ガラスは中国が強く、そして凄いガラスの建築物があることを前項で触れました。しかし、それだけの建築物を作っているものの、中国で生産されている強化ガラスは万能の強度を誇るわけではありません。そのエピソードとして、世界最長のガラス張りの橋に使われていた強化ガラスが、「ハンマーで叩いて割れた」というものがあります。
ガラス張りの橋のガラスは割れても完全に壊れたわけではないため、特に問題はないとされています。しかし、それでも叩いてちょっとでも割れるのには不安があるため、強化ガラスへの過信傾向が見受けられます。

アジアの窓ガラスのリスク

また、韓国では車のフロントガラスが太陽光に熱せられて割れたというニュースもあり、アジアにおける窓ガラスは、謳っている強度より実際の強度は弱かったり、熱などの環境因子によって弱かったりする問題やリスクが考えられます。

アジアの宗教と窓ガラスの関係は?

イスラム教とガラス

広大な土地、そして国を包括しているアジアですから、そこには様々な民族が入り乱れると同時に多様な宗教が発達しています。そんなアジアの宗教と窓ガラスの関係は、宗教によってはとても密接です。
特にアジア圏における窓ガラスに関係した宗教であるのが、イスラム教でしょう。イスラム教のモスクでは、キリスト教の教会とはちょっと違った形のステンドグラスが取り付けられています。特に有名なのはマレーシアにあるピンクモスクでしょうか。

仏教や儒教とガラス

仏教や儒教においては窓ガラスがそれほど関係しないため、それらの宗教の歴史的な建造物に特別な窓ガラスが使われることはなかったようです。ただ、近年になって仏教寺院でのステンドグラスを取り入れた建築なども出てきているようです。時代の進化とともにアジアの宗教と窓ガラスの関係が結びつくというのは、興味深い動きですよね。
また、イスラム教、仏教と並ぶキリスト教とガラスの関係については、こちらの記事(アメリカの窓ガラス事情)で解説しています。

まとめ

アジアにおける工業的な窓ガラスは、中国が中心となっており、そこからアジア圏域またはアジア圏の外へ輸出が行われています。これは中国が工業大国であるとともに、漢というアジアの窓ガラスの発祥の地の名残でもあるかもしれません。
しかし、工業的なものではなく宗教が関係した窓ガラスの建築については、中国だけではなくインドやタイ、マレーシアなどのイスラム教圏にも美しい窓ガラスのある歴史的建造物があり、負けていないと言えるでしょう。