気候風土に合わせた窓ガラス

気候とガラス

窓ガラスは住宅の装飾性を高めるだけではなく、その土地の気候や風土に合わせて生活をしやすくするためにも用いるものです。そのため、気候風土と関連した窓ガラスの実情は、世界各国の土地それぞれに大きく変わってくることがわかります。
窓ガラスは世界各地の気候風土に合わせてどのように扱われているのでしょうか、そして日本の気候風土と窓ガラスはどう関連しているのでしょうか。今回はそんな気候風土と窓ガラスの関係について考えていきます。

世界の気候と窓ガラスの関係

皆さんもご存知だと思いますが、気候は世界各地によって大きな差があるものです。常夏の国があれば、常冬の国があったり、天災に見舞われやすい地域があったりします。それらの気候によって使われ方が全く違ってくるのが、窓ガラスの大きな特徴でしょう。

暑い国の窓ガラス

ではまず常に暑い国、熱帯地域の地域での窓ガラスの使われ方についてです。赤道付近の国では、部屋の中の温度をできるだけ低くすることが求められます。そのため、遮熱効果の高い窓ガラスが用いられる傾向にあります。
遮熱効果の高い窓ガラスの要素として、太陽光からの紫外線や赤外線をどれだけカットできるかが重要です。それらをカットできるガラスコーティングは、「IRUVカットコーティング」と呼ばれています。赤道付近の国では、それら遮熱カット率の高いコーティングがされた窓ガラスが多く用いられており、そのカット率はメーカーにもよりますが、高いもので紫外線99%カット、赤外線90%以上のものもあるようです。
これだけ太陽光をカットできる窓ガラスがあれば、暑い地域でも快適に過ごせそうですよね。

寒冷な国の窓ガラス

次に寒冷な地域における窓ガラスの使われ方について見ていきましょう。極寒の国では、赤道付近の国とは逆に、どれだけ部屋の温度を下げずに保温できるかが窓ガラスに求められます。そのため、寒冷な地域の窓ガラスは、部屋が暖かくなるような工夫や技術がふんだんに盛り込まれています。
その工夫や技術として、太陽光に含まれる赤外線を室内に取り入れ、室内の熱を外に逃さないような機能が挙げられます。その機能を持つ窓ガラスとしては、一般的に断熱複層ガラスが考えられるでしょう。
複層ガラスは日本では二枚一組のものが一般的ですが、北欧などの特に寒さが厳しい地域であれば「トリプルガラス」と呼ばれる、3枚のガラスで作られた複層ガラスの窓が使われることも多いのが特徴です。

また、最近ではこの複層ガラスに特殊なフィルムがコーティングされた、さらに熱を吸収しやすく室内の熱を逃しにくい窓ガラスも登場しています。このように、寒い地域では暖かく室内で生活できるような工夫された窓ガラスとなっています。

ハリケーンなどがある地域の窓ガラス


世界各国では暑い・寒いなどの気温的な問題だけではなく、ハリケーンなどの天災が頻繁に起こる地域があります。そのような地域の窓ガラスも、ある程度の対策がなされるようになっています。
まず、諸外国の窓ガラスは複層ガラスであることが多いため、強度については日本のものよりも高いのが特徴です。しかし、それらの窓ガラスでもハリケーンなどの衝撃で割れる可能性があるため、それを保護するためのシャッターが取り付けられています。また、シャッターが無い場合は、ややアナログですがベニヤ板を貼り付けて補強するそうです。

日本の気候と窓ガラスの関係

四季と窓ガラス


日本は言わずと知れた四季のある国です。そのため、前項で紹介したような一年中暑いとか寒いといった地域に比べて気温の変化が大きいため、それに合わせた断熱性の高い窓ガラスが取り付けられています。
断熱性の高いガラスは、室温を逃さない点で優位に働きます。これは、寒冷地域で使われる外から熱を取り入れやすい窓ガラスの場合は、日本だと夏場に室温が熱くなるなどのデメリットがあるためです。断熱性の高いガラスならば、外気温を気にせずに、空調設備で冷却したり温めたりした室温を逃さないようにできます。

台風や地震と窓ガラス

台風とガラス
また、日本の風土としては台風や地震が来やすいのも大きな特徴です。それらについても、日本の窓ガラスはしっかりとした対策がなされています。
台風への対策としては、先述したハリケーン対策と同様にシャッター付きの窓の使用や、ベニヤ板・ダンボール・ガムテープなどでの補強が挙げられます。さらに最近では、ハリケーンファブリックスクリーンという、暴風雨からの窓ガラス保護スクリーンの活用なども普及してきています。
次に地震への窓ガラスへの対策としては、網入りガラスの存在があります。よく学校や公共施設で格子状に針金が入ったガラスを目にした経験がありませんか?このガラスに入っている網は、防火性の目的だけではなく地震でガラスが割れた時に飛び散りにくい特徴があります。
また、このほか、強化ガラスや合わせガラスなどの強度の高いガラスも、地震対策用の窓ガラスとして多く取り入れられています。
多種多様なガラスの性能について、より深く知りたい方にはこちらの記事「世界の窓ガラスの性能を比較! 日本と外国の違いはあるの?」をおすすめします!

まとめ

窓ガラスはその地域の気候や風土、起こりやすい災害への対策などから、それぞれの地域に特徴があることがわかります。日本でも窓ガラスは日本という気候風土に特化しているように、世界各国でもその地域に特化したガラスが生み出されるなど、窓ガラスはその地域に合わせたカメレオンのような存在だと言い換えることができるかもしれませんね。