世界の窓ガラスのデザイン

窓ガラスのデザイン
窓ガラスは、私たちの生活の中に浸透しきっており、そのデザインは画一的なものであると思い込んでいる方も多いかもしれません。しかし窓ガラスのデザインは世界的な規模で見てみると国によってデザインの差があったり、時代によって今とは全く違ったデザインであったりするなど、そのデザインは画一的でなく多種多様です。
今回は、その世界の窓ガラスのデザインについて、過去、現代、そしてそのデザインに求められる要素などの観点でまとめてみました。

昔の窓ガラスはこんなだった!面白デザイン探訪記

古代ローマ帝国のポンペイ遺跡

窓ガラスに使えるような板ガラスが世界史の中で登場したのが、紀元前1世紀頃と言われています。これは、古代ローマ帝国のポンペイ遺跡から最古の窓ガラスが発掘されている点からも明らかです。ただ、初期の板ガラスは薄く作る製法が確立されていなかったので、とても分厚く、デザインするのが難しいのが特徴でした。
薄いガラスの製法が確立されてからも、大量生産ができない貴重なものでした。そのため、窓ガラスは庶民の住宅に使われるのではなく、教会などのステンドグラスとしての利用が多かったのです。

クラウン法

それに、昔に使われていたクラウン法という円状に薄くガラスを作る方法では、その製造の過程で中心に円形の模様ができるのが特徴です。ですので、この時期に作られた窓ガラスは、自然と瓶底のようなデザインがついている面白いところですね。
また、1500年ヨーロッパは窓に高価な窓ガラスを使わないような工夫がなされていました。その代表的なデザインが、窓の上部がガラスで、下部がシャッターという風変わりな窓です。

現代のヘンテコな窓ガラスのデザイン

修道院の奇妙なガラス

昔の窓ガラスのデザインは、ガラスのコスト面から自由にガラスを使えないという条件が作り出した側面がありました。その点、現代における窓ガラスは、窓ガラスが自由に使えること、窓ガラスを加工するアイテムの多さがあり様々なデザインが登場しています。
現代だからこそできるヘンテコな窓ガラスのデザインの一つとして、古いドイツの修道院を利用して作られた、ラミネートされたガラスが部屋に流れ込んでくるような芸術作品などが例として挙げられます。
この他、窓ガラスへの印刷、磨りを入れることで窓ガラス上に絵を書いたものなど、現代ならではのヘンテコなデザインも多く見受けられます。

薄く伸ばしたガラス

また、日本においては最先端の技術を使って作成された、極めて薄く伸ばして作られたガラス膜という、すごいデザインのものもあります。分厚い窓ガラスでデザインに難儀していた太古の時代と比べると、現代の窓ガラスはヘンテコなデザインができるくらいに物凄く進歩していると言えます。

窓ガラスのデザインに求められるもの

日常の機能性も大切

窓ガラスは生活に密着するものであるとともに、芸術性をも求められるものでもあります。そのため、窓ガラスのデザインに求められるのは、見た目の良さに加えて機能性が優れるような要素です。
先述したアートとしての窓ガラスはヘンテコなものがある反面、日常に直結する形で使われる窓ガラスは、「掃除がしやすくてスタイリッシュ」であったり「綺麗な形をしていて光も多く取り込める」など複合的なメリットが得られるデザインが求められていると言えるでしょう。

宗教や絵画と窓ガラスのデザイン

それに宗教が関連している窓ガラスについては、神秘的なデザインであるとか、絵画のような緻密に作られたデザインが求められることもあります。そのため、その用途や設置場所によっても窓ガラスに求められるデザインは変わってくると考えられます。

まとめ

ガラスは特殊物質であるため、その製法によってデザインの自由度は限られていました。これは逆に捉えると、ガラスの製法技術が向上するにつれて、デザインも多様になってきたということです。ですので、世界全体での窓ガラスのデザインの変化は、世界における窓ガラス製造技術の進化だと言えます。
そして窓ガラスは、宗教的な面、機能性の面、インテリアや芸術としての面など色々な観点からのデザイン性が求められる特殊なものです。
そのため、世界の窓ガラスのデザインは、単に「使いやすさ」を求めて設計されたものではありません。そのようなデザインの多様性があるのも、窓ガラスの興味深いところなのではないでしょうか。
ちなみに、ガラスの性能について世界各国と比較したものをまとめましたので、こちらもご参考くださいね。(参考:世界の窓ガラスの性能を比較! 日本と外国の違いはあるの?